サミュエルベケット
安堂信也 高橋康也 訳 白水uブック
いやーおもしろい。話としてはただゴドーを待つだけなんだが、このいわゆる不条理という質感。
おそらく「待つ」という行為が特別性に帯びている。例えば、歩くという行為は脚を交互に右、左、右、左、と地を蹴り進んでいく。食べるという行為は食物を口に入れ、咀嚼し、味わい、飲み込む。どちらも非常にわかりやすい。
では、待つという行為はどうだろうか。それは常に起きている現象であり、はたから見れば、立っている、かもしれないし、止まっている、かもしれない。
おそらく時間という概念が密接にかかわっているのではないか。時間が流れているとするなら、そこに待つという動詞がセットで生まれる。今おれは10秒後の俺を待っている、空腹になるのを待っている。
勝手なおれの考えだが、「ゴドー」はそれが人物のゴドーであっても、「死」という名のゴドーであっても、なんであってもいいのでは。
183頁の最後、ポッツォが言っていた、「いつではなくあの日でいいだろう」的なここが印象的。
これいいな。「今何をしているんですか。」「ゴドーを待っています。」これ、いいな。
メタい会話が出てくるのも好き。今おれらがいるのは板、つまり舞台。どうしたら面白くできるか。って会話。まるで演技と人生の境界がなくなっているよう。
アーティストが楽曲の中で「曲作り」に言及しているときの感じ。質感で言ったら。
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